デッサンが描けないといけない
物事には「簡素化」という方法があります。
一個一個捉える方法と、全体で捉える方法があるとします。この場合、個々に見るよりも、全体で見た方が楽です。
一つ一つ吟味するより、全体的に見たらこうだ、と評価した方が労力をかけずに済むからです。
デフォルメされた絵を例にしてみましょう。デフォルメされた絵は、特徴を捉えることで、「簡素化」して描かれています。
精緻に描かれていないので、簡単に描かれているように見えます。だから、間違えると「こんな簡単な絵がデザインと言えるのか?」と思ってしまいます。しかし、デフォルメされた絵をデザインできる人は、デッサンも描けるのです。
ピカソはデフォルメされた絵で有名ですが、初期の頃は写実的な絵を描いていました。
鬼太郎で有名な水木しげる氏も、最初から鬼太郎のような漫画キャラクターを描いていたわけではなく、極めてデッサン力のある人だったようです。
デフォルメされた絵を描くには、デッサンが描けないといけないのです。
難しいことを簡単に表せるのが、本当のプロです。しかし、基本が身についていないと、デフォルメという「簡素化」は使えないのです。
仕事で先輩から「基本はこうだけど、基本を知っていれば簡単なこっちの方法でよい。」と言われたとします。
それはあくまで、「基本を身につけていれば」という前提で、手抜きをしても良いのです。
それを理解せず、基本を飛ばして、いきなり「簡素化」をやると、本当は何にも理解していないということになってしまいます。ですから、「簡素化」には気をつけなければいけません。
まずは、基本から。これを忘れてはいけません。