コロナ後の世界の生き方

現在、世界中で新型コロナウイルスによる影響が出ています。それは今後の私たちの生活を一変させ、「コロナが去った後の世界は、今までの世界とは違った世界になっている。」などとも言われています。

いわゆる、「コロナ後の世界」または「アフターコロナ」です。

生活や仕事が激変するかもしれない状況の中、私たちが準備すべきことは何なのでしょうか。

無形資産を形成する

「LIFE SHIFT」という本には人生100年時代の生き方が書かれています。この生き方は、コロナ後の世界でも必要になると考えられます。

すなわち、無形資産を形成する生き方が求められているのです。

資産とは、ある程度の期間にわたり恩恵を生み出せるもののこと。

LIFE SHIFT

資産には、お金などに代表される有形資産の他に、無形資産が存在します。無形資産とは、

長期にわたり恩恵を生み続け、物理的に取り出して値段を付け、売買することができない資産

LIFE SHIFT

のことをいいます。

具体的には、家族、友人、知識・スキル、健康、信用・評判などです。これらは値段を付けることは出来ませんが、人生に恩恵をもたらす資産なのです。

「LIFE SHIFT」ではこの無形資産を、①生産性資産②活力資産③変身資産という3つに分けて論じられています。

私は、これからの時代に最も必要なのは「変身資産」だと考えています。いつ何が起きたとしても、自分を変えていける柔軟性と、新しい経験に開かれた姿勢などが変身資産です。

そして、生産性資産と活力資産が変身資産の形成を助ける役割を果たしています。

ですので、コロナ後の世界が今までと違うことを想定し、自らを変える資産と、それを支える資産を形成しなければならないのです。

生産性資産

主に知識やスキルが生産性資産です。

ひとつの勤め先に依存するような生き方では、緊急事態が起こった時に、収入やライフスタイルを維持することは困難でしょう。

価値とは希少性なので、他人より秀でた専門知識の習得は必要です。落合陽一氏も「0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書」という本の中で、ひとつの分野で100万点とれるような専門分野をもつことの重要性を語っています。

ところが、専門分野一辺倒ですと、世界が激変するような事態が起きたときに、太刀打ちできなくなる可能性があります。

人生100年時代は、様々なステージを経験するために、自分を変えていかなければなりません。そのため「LIFE SHIFT」では、どの分野でも役に立つ汎用スキルの重要性を解説しています。

勤労人生の途中で職を変えたり、業種を移ったりするケースが増えれば、評価が高く、どこでも通用するスキルや知識をもつことの重要性がいっそう高まる。

LIFE SHIFT

そして、今回のような生活が一変してしまう事態が起きた時も、汎用スキルの重要性は同じだと考えられます。

「LIFE SHIFT」では、思考の柔軟性と敏捷性、分析能力、共感能力、意思決定能力、創造性、教養などが汎用スキルとして挙げられています。

一方、私が考える汎用スキルは、学習の習慣、セルフコントロール能力、コミュニケーション能力、創造性、ワーキングメモリー、誠実性などです。

これらの中で、セルフコントロール能力、創造性、ワーキングメモリーは運動によって鍛えることができます。

有酸素運動でも筋トレでも、とにかく生活に運動を取り入れ、セルフコントロール能力、創造性、ワーキングメモリーを鍛えておくと、コロナ後の時代でも生き抜く力になるでしょう。

つまり、違うフィールドに移らなければならない時に、変身を助けてくれるのです。

活力資産

健康、友人、家族などが活力資産です。

私たちに幸福感と充実感をもたせ、やる気をかき立て、前向きな気持ちにさせるもの

LIFE SHIFT

政治哲学者のマイケル・サンデルが言うように、無形の資産のなかには、もっと重たい価値があり、それゆえに値段をつけて売買できないものもある。あるいは、その資産の性質と形成過程ゆえに、売り買いできないケースも多い。たとえば、80歳のときに一生の友人を「購入」することはできない。

LIFE SHIFT

テレワークの広まりによって、子育てに関わるようになった父親も多いことでしょう。友人に限らず、80歳のときに、信頼関係が構築された妻や夫や子供を購入することはできません。

そうであるならば、男性が家事や育児に参加すのは、後悔のない人生を築くのに欠かせない「行動」なのです。テレワークが広まりつつある今だからこそ、家族を大切にすることの重要性を強調しておきたいと思います。

そしてこれらの活力資産もまた、違うフィールドに移らなければならない時に、自分を助けてくれるのです。

スティーブン・R・コヴィー氏の著書「7つの習慣」では「終わりを思い描くことから始める」という章があります。この章では、自分の葬儀に家族や友人が訪れる場面を想像するように迫られます。

これらの人たちに、あなた自身あるいはあなたの人生をどのように語ってほしいだろうか。彼らの言葉で、あなたがどういう夫、妻、父、母だったと述べてほしいだろうか。

7つの習慣

あなたは、彼らに自分がどのような人物だったのかを見てほしかったのか。・・・彼らの人生に、あなたはどのような影響を及ぼしたかったのだろうか。

7つの習慣

スティーブン・R・コヴィー氏は、自分の葬儀の場面を想像してこう述べています。

子どもたちの一人が弔辞を述べようとしている。私は子どもたちの人生が、その場しのぎの応急処置的な闘いの積み重ねではなく、愛に満ちた親の教えと躾の結果であってほしいと願う。彼らの内面が、私とともに過ごした年月の豊かな思い出でいっぱいであればと願う。その成長の途上で喜びと悲しみを分かち合った愛情深い父親として私を覚えていてほしい。心配事や悩みを私に打ち明けてくれたときに、私が真剣に耳を傾け、助けになろうとしたときのことを思い出してほしい。私は完璧な父親ではなかったが、精一杯努力したことを知ってほしい。そして何よりも、世界中の誰よりも彼らを愛していたことを記憶にとどめておいてほしい。

7つの習慣

あなたが最後を思い描いたとき、そこには誰がいるでしょうか。そして、あなたのことをどのように語っているでしょうか。

変身資産

変身資産とは

人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力のことである。

LIFE SHIFT

移行につきものの不確実性への対処能力を高める要素と言い換えてもいい。

LIFE SHIFT

新しいステージへの移行を成功させるための要素として以下の3点が挙げられています。

①自分についての知識(ありうる自己像)
②多様性に富んだ人的ネットワーク(ロールモデル、緊密な関係にない知人)
③新しい経験に対して開かれた姿勢(行動)

まず、自分がどういう人物で、どんな価値観をもっており、何が好きなのかといった理解が必要になります。そして、将来の可能性に気付くことも重要です。すなわち、「ありうる自己像」への理解を深めなければならないのです。

ありうる自己像とは、未来の自分がどのような人間になる可能性があり、どのような行動を取る可能性があるかを表現したもの

LIFE SHIFT

です。

ありうる自己像の理解とともに、すでに移行を成功させた人物(ロールモデル)を探し、新しい世界の知識を教わることも必要です。

そして、現状維持ではなく、常に新しい生き方を模索し、

人生のさまざまな要素を統合できる新しい生き方を実験する姿勢

LIFE SHIFT

をもっていなければなりません。

コロナ後の世界では、いまの自分以外の可能性を模索し続けることが重要です。常に複数の選択肢を考えておくのです。

そのためには、コンフォートゾーン(快適領域)の外に出なければなりません。

知らない人に会い、知らない場所に行き、知らない事を知り、知らない物を見ることが重要です。今の自分の枠から抜け出すとき、新たな可能性の扉が開くのです。

そして、新たな可能性が見えたなら、日々その実現に向けて何らかの行動を積み重ねておく必要があるでしょう。

<参考文献>
LIFE SHIFT
7つの習慣
一流の頭脳
0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書

<YouTubeで見る>