茂木健一郎氏の著書「世界一自由な脳のつくり方」要約

感覚系を司る脳と、運動系を司る脳

イノベーションには「ビジョン」と「実行力」が必要です。コンセプト(概要)とディテール(詳細)と言い換えることもできるでしょう。

脳ではそれぞれの役割をもつ部位が連携し合って、活動を行っています。

<ビジョン、コンセプト(概要)に応答する部分>
まず、感覚系(側頭連合野)は、大きなビジョンを描く脳です。価値を見極める目利きの能力はこの部分が関係しており、感覚系学習で習得されます。

<実行力、ディテール(詳細)に応答する部分>
一方、運動系(運動野、運動前野、小脳)は手元コツコツに関係しており、行動力として現れます。運動系学習によって習得されます。

また、『世界一自由な脳のつくり方』では、左脳はコンセプト脳、右脳はディテール脳と説明されていました。

創造性とは 経験×意欲

脳は体験を蓄積し、大脳皮質の側頭葉で意味や価値に変換しています。そして、前頭葉の働きによって、蓄えられた情報が活用されます。

インプットされた情報がどれほど有益だったとしても、前頭葉が働かなければ、それらの情報は意味をなさないでしょう。

側頭葉がつくりだした「経験」と、前頭葉が発信する「意欲」が掛け合わさることで、創造性が生み出されるのです。

つまり、創造性がある人とは、側頭葉の体験の蓄積が大きく、前頭葉の「何かをしたい」という意欲が強い人だということになります。

何かやってみる(行動)ことで、前頭葉は活性化する

以上に見たとおり、経験を積むだけではなく、実際に行動に移す意欲がなければ、創造性を発揮することはできません。行動に移す意欲のカギを握るのが前頭葉です。

茂木氏によれば、でたらめでもいいから何でもやってみることで、前頭葉の働きを活発にすることができるといいます。

ディテール力を鍛えるには、運動系の学習が有効で、手を動かすことだと書かれています。

以前にも、

運動の効果

頭が良くなる方法

やる気を出す方法

澤口俊之氏に学ぶ夢を叶える方法

などで、やる気や前頭葉の鍛え方を書いていますので、参考にしてください。

逆に、コンセプト力を鍛えるには、思考のネットワークを密にする必要があるようです。

例えば、たくさんの本を読んだり、多くの人の話を聞いたり、議論したりすることでネットワークが密になると紹介されています。

行動によって偶然を引き寄せる

前頭葉の活性化以外にも、行動によるメリットがあります。

茂木氏によれば、行動してるうちにセレンディピティに出会うことがあるとのこと。

セレンディピティとは「思わぬ幸運に偶然に出会う能力」

だと言います。

私はこれを読んだとき、本田健氏の「シンクロニシティ」という考え方と似ているなと感じました。

脳科学者がこのような「偶然」について本に書かれているのは新鮮な感覚があります。脳科学者が偶然の力を論じているのだから、「偶然からの幸運もあるかもしれない。」という気持ちになりました。つまるところ、「チャンスに気付く力」ということなのだと思います。

偶然に幸運を結び付ける要素は、

①行動する
②気付く
③受け入れる

の3つだといいます。具体的に行動することがポイントになりそうです。

私としては、
①コンフォートゾーン(快適領域)を出る努力によって、経験を積む。
②運動によって前頭葉を鍛える。
③ ①と②の結果、創造性を発揮するつもりで行動を続け、セレンディピティを秘かに期待する。

といったように、意識していけたらと思います。

<参考文献>
世界一自由な脳のつくり方