無(最高の状態)/鈴木 祐 著/感想

鈴木 祐さん著『無(最高の状態)』を読了したので、本書の要点を私なりにまとめてみたいと思います。

①人間はネガティブな思考をしてしまう。

②人間は物語(未来のシミュレーションだったり、過去の思い出だっり)を考えて生きている。

③ ①と②より、人間は物事に対してネガティブな受け止め方をしたり、悪い未来を思い描いたり、過去の嫌な思い出を考えてしまう。この時、「あの時も私は怒られた」「私のことが嫌いなのか」「今後私はどうなるのか」といった具合に「自己」が現れている。

④その物語を現実よりも、”現実”として捉えている。

⑤外の出来事以外にも、身体の不調でもネガティブな物語を考えてしまう。

⑥ネガティブな物語の想起を、「停止」と「観察」によって和らげる訓練が必要である。物語を想起する時、「自己」が現れているので、「停止」と「観察」で「自己」を消すこと(=無我)を目指す。

⑦「停止」とは文字通り、物語の想起を止めること。「観察」とは物語を想起したと気付くこと。気付くことで、現実と物語を切り離せる。

⑧「停止」と「観察」を簡単に表現すると、瞑想することである。

⑨無我に至ると、幸福度の向上、意思決定力の向上、創造性の上昇、ヒューマニズムの向上が見込める。

「停止」のトレーニングには「止想」

詳しくは本書を読んでいただければと思いますが、特定の対象に意識を集中する瞑想で、本書では呼吸に意識を集中することをすすめています。

言わば、初級者の為のトレーニングといった内容です。

空気が鼻腔を通過する感覚だけを意識してください。

p.243

とてもお手軽なので、私は自転車通勤中に呼吸に集中するようにして、ネガティブな物語の想起を止めるように練習しています。

「観察」のトレーニングには「観想」

こちらは上級者向けのトレーニングになります。

①リラックスして座り、どの対象にも集中せず意識がさ迷うに任せます。身体の感覚が気になったら「いま腰の痛みに注意が向かった」とだけ観察し、家の外の音が気になったら「いま音に注意が向かった」とだけ観察します。…

②…最も大事なのは、脳内で物語が発生するままにしておくことです。観想の間に頭に浮かんだことに対して、「好き・嫌い」「良い・悪い」「正しい・間違い」「面白い・つまらない」といったジャッジをしないように心がけましょう。

P.239

本書では、この他にも様々なトレーニング方法が記載されています。また、著者もトレーニングは自分に合った方法を探すように述べていますので、ご自身に合った方法を探してみてください。

また、順番としては「停止」から練習し、「観察」に進むのが効果的とのことです。個人的にも上記で紹介した「止想」は簡単でおすすめですし、無心になれる気がしています。

今まで、自分の能力を磨くために運動系の本や睡眠系の本は読んできましたが、瞑想系の本は初めて読んだかもしれません。

本書は「瞑想はこんなに良いよ!」という切り口ではなく、脳の仕組みから、論理立てて「苦しみ」を解説し、その解決策として瞑想を用いているところに面白みを感じました。もし、本書が気になった方はご一読下さい。

〈参考文献〉
無(最高の状態)

〈YouTube で見る〉
https://youtu.be/FkLOsPBtQp4