YOUR TIME ユア・タイム: 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術/鈴木祐 著/感想
パレオな男こと鈴木祐さんの『YOUR TIME』を読んだので、感想をお伝えします。
本書の前半では脳科学的な立場から、人間の時間感覚を説明し、脳が作り出す予期(未来予想)と、想起(過去の記憶)の偏りを調整する数々の方法が紹介されています。
画一的な時間術ではなく、予期と想起という軸を用いて各人の個体差を説明し、それぞれに合った処方箋を提示しているところが他の時間術本とは違うところです。
ちなみに、予期と想起の話は、鈴木祐さんの著書『無』と切り口は違えど、似ていると思いました。つまり、人間は常に物語を想起しているという辺り。
そして、後半ではテクニックではなく、焦りや不安を減らし、時間的ゆとりを感じる方法が書かれています。
こちらは、「時間がない」と感じる感覚への処方箋といった内容です。
言い換えれば、どうしたら「時間がある」と思えるのか?という疑問へのアプローチとなっていると思います。
当たり前ですが、時間を作ることと、時間があると思えることは違いますよね。
根本的な「感覚改善」へのアプローチ方法を説いてあるので、とても勉強になりました。
要約
私が考える本書の要約は以下の通りです。
●人間は予期と想起によって、時間の流れを感じている。人によって予期と想起にずれがあり、それを調整するのが正しい時間術である。
●しかし、生産性や作業効率の追求はプレッシャーであり、ストレスの慢性化により、脳に負荷がかかる。その為に生産性が低下する。
●また、生産性を上げても、仕事ができる人のところに仕事が回されるので、タスクの総量は減らない。更に、仕事を速くこなしても、その分他の確認事項に気付いたりする。作業に明確な終わりがないので、結局タスクの総量は変わらない。
●脳が没頭状態に入れば、時計に向ける注意の回数が減り、何かに追われているような焦りや不安の感覚に囚われずに済む。
●「生きがい」を掘り当て、人生で本当に重要なことを判断できるようにする。
●退屈を突き詰めると、脳の感受性を取り戻せる。感受性が増す事で、1日の中で体験する出来事の回数を増やせる。結果、後で過去を想起した時に、長くて充実した時間を過ごしたと感じる。これが時間に余裕があるという感覚となる。
です。
また、本書とは関係ありませんが、子供は1日の中で体験する出来事の回数が多いので、1日が長く感じるのです。
つまり、退屈を突き詰めると、子供の頃の好奇心が呼び覚まされると言えるのではないでしょうか?
これは中々面白いと思いました。
本書には、予期と想起の調整方法、焦りと不安を減らして脳を没頭状態にする方法、脳の感受性を取り戻す方法が詳しく書かれています。
今までの時間術本で満足出来なかった方は是非読んでみてください。
〈参考文献〉