水木サンの幸福論/水木しげる著/感想
水木しげる氏の著書『水木サンの幸福論』を読んだので、感想をお伝えします。
幸福論と題されていますが、幸福論についての記述は最初の一部分のみです。後は、水木氏の半生を振り返る「履歴書」が書かれています。
ですから、一冊丸々幸福論だと思っていると、少しガッカリしてしまいます。しかし、水木氏の波乱万丈な人生を垣間見ることができるので、とても楽しく、参考になります。
「戦前から戦後の様子はこうだったのか」「何かを突き詰められる人の生い立ちや考え方ってこうなんだ」といった、感想をもちました。
しないではいられないことをし続けなさい。
水木氏の幸福に対する主張はシンプルで、「大好きなことを見つけて、大好きなことをやりなさい。」というもの。
人間は好きなこと、すなわち「しないではいられないこと」をするために生まれてきたんです。
水木サンの幸福論
水木氏自身も絵で食べていけるようになりたいと望み、睡眠を削ったり、漫画を書くための勉強をするなど、努力してきたと言います。
自分の道を行くと様々な困難にもぶつかります。周囲の評価、世間のルールとの食い違いで、辛い目にあったり、恥ずかしい思いをするかもしれないけど、それは甘んじて受ける覚悟が必要です。
水木氏は、好きなことをやるからには、誰に何を言われようと、自分の道を進みなさいと仰っています。
しないではいられないことを見つける方法
「しないではいられないこと」を見つける方法についても語られています。
①好奇心が沸いたことをやってみる。それに熱中していると、「しないではいられないこと」が見つかる
②子供の頃熱中したことを思い浮かべる
努力を惜しんではいけない
売れなかった時代でも、水木氏は原稿料の大半を漫画のストーリーを考えるのに役立ちそうな本や、作画のための資料を買うことに充ててきたと言います。
他の漫画家の家に行っても本など一つもない人達もいたらしいです。楽して暮らしたい人達は消えていったとのこと。
水木氏は、「好きの力」の強さが、この違いを生んでいると推察しています。
また、才能があっても収入に繋がるとは限らないし、努力は人を裏切るとも述べられています。
そこで、愚痴をこぼしたり、絶望したりしてはいけません。好きなことなのだから、ただただ努力するのみとのこと。
若いときは怠けてはいけないとも忠告されています。
まとめ
・「しないではいられないこと」をやり続けられる人生は幸福である
・好奇心の沸いたことをやってみて、「しないではいられないこと」を見つける
・「しないではいられないこと」をやり続けると決めたら、周囲の批判など気にせず、自分の道を行く
・ただし、才能があっても収入に繋がるとは限らないし、努力をしても裏切られると心得る
・ただただ努力する。好きなことなのだから。
〈参考文献〉
水木サンの幸福論