父滅の刃で生き方が変わる/樺沢紫苑著
樺沢紫苑氏の著書「父滅の刃」を読んで、生き方が変わったのでお伝えします。
父親殺しの達成
私は本書を読んで、「子供は心理的に父親を乗り越えられなければ、大人になれない」という父親殺しの概念を知りました。
私にとっての父親殺しは、転職の経験だったと思います。
大学卒業後、目標もなく、周囲の就職活動という波に流されていきました。何とか拾ってくださった会社に就職するものの、心の中では納得していませんでした。
就職活動は大変でしたし、内定は努力の結果だと思っています。しかし、その時の私の人生は「成り行き」で決まったものだったのです。
その後、どうしても現状に納得出来なかった私は、転職活動を始めました。数ヶ月におよぶ活動の末、転職に成功しました。
自ら「選んだ道」へ進むことに成功したのです。
思えば、「自らの努力と行動で人生を変えた。」「成り行きではなく、自分で選んだ道へ進めた」「納得している」この感覚を持てたことで、私は父親を乗り越えた気がします。
私にとっての父は、怖い存在です。進路に迷った時はいつも相談していましたし、話も聞いてくれました。でも、近寄り難い人でした。
しかし、この転職を機に私は父と同じ目線で話ができるようになりました。父の健康を気遣うこともできるようになりました。
私「運動した方が良いよ。」
父「軽く走ってるよ。」
私「へぇーすごいじゃん。それは本当に良いから続けた方が良いよ。」
といった会話が今では成り立っています。
私は父親殺しを達成したのだと思います。
Good Fatherを目指して
私自身も子供にとって乗り越えるべき存在になれるように子育てに当たっています。
本書を読んで以下の事を意識しています。
1 規範やルールを示す
2 子供を外に連れ出す
3 できるだけ子供と一緒に過ごす
〈1 規範やルールを示す〉
先日、子供が歯磨きを拒否しました。私も初めは優しく、「こっちに来てください。歯を磨こう。虫歯になるよ。虫歯になったら美味しいもの食べられないよ。」などと言っていました。
しかし、子供は私を無視して寝始めてしまったのです。
本書を読んでいたためか、私は「ルールを示さないといけない。」と思いました。
そこで、私は
①ご飯を食べたら歯を磨く。
②歯を磨かないと虫歯になってしまう。
③大人になったら好きにして良い。
④子供のうちは、父母にあなたの歯を守る義務がある。
⑤ご飯を食べたら歯を磨くという家のルールを守れないなら、この家から出て行きなさい(本気ではない)。
と厳しく叱りました。
当然子供は大泣きです。そこを妻が優しくフォローしてくれました。
本書で述べられている、断ち切る父、包み込む母の構図が取れたと思います。
この対応が良かったのか、悪かったのかは分かりませんが、その後子供は歯磨きを嫌がることもありますが、眠くても頑張るようになりました。
〈2 子供を外に連れ出す〉
外に連れ出すのが父親の役割だと知り、なるべく子供を外に連れ出しています。
休日は時間を見つけては公園、川、プールなどに連れ出すようにしています。
また、家遊びに付き合うのは意外と大変で、こちらが疲れてしまいます。しかし、公園や川などに行けば、大人も外の空気を吸えて、気晴らしにもなります。
〈3 できるだけ子供と一緒に過ごす〉
私は元々1人でいるのが好きなタイプの人間です。本当であれば、ランニングしたり、ジムにいったり、読書したり、ブログを書いたり、YouTube 動画を投稿したりしたい。
でも、子供の頃というのは、「今」しかないと思っています。
そして、子供が小さなうちこそ、父親として子供と時間を共有することが大事なのだと思います。
「美味しいね」「楽しいね」「すごいね」といったように、同じ時間の共有を通して、子供との絆が深まりますし、二度と戻らない時間の中で、大切な思い出も残せるのだと思います。
自分で突破するしかない
父滅の刃を読んで、最後のまとめに感銘を受けました。父性が存在しないのなら、自ら考え、行動し、現状を突破するしかない。
今年の4月に人事異動があり、仕事に詳しい先輩が異動してしまいました。その先輩と組み、参加していたプロジェクトもありました。
仕事に詳しい人が異動していくのは、組織であれば当たり前のことですが、残された者は厳しく、辛い状況にあるのも確かです。
しかし、頼れる人、父性を発揮できる人がいないのであれば、自らが父性を発揮し、現状を打破するしかないと考えられるようになりました。
分からない事は調べれば良いですし、周囲や上司に相談すれば良い。プロジェクトも当初手探りではありましたが、今は周囲の協力を得ながらも、担当として参加できています。
人が成長するうえで背水の陣に置かれる事は、必要なのだと思います。手取り足取り教わることができない状況。自ら考え、行動し、突破しなければならない状況に追い込まれた時に、本当の意味で成長できるのだと実感しています。
一方で、突破力を発揮できるかどうかは、日頃から準備しているかどうかだと思います。私は常に、「異動があったら自分でやらないといけなくなる。」と考え、仕事をしてきました。ですから、先輩がいるうちに色々聞いて、メモを取っていました。
準備ができていない場合は、背水の陣どころか、四面楚歌に陥るでしょう。「天は自ら助くる者を助く」という諺のとおり、自助努力なしに、周囲の助けを求める事は出来ないからです。
私には、本書の「父性がないなら、自ら発揮するしかない」というメッセージが刺さりました。全てを1人でこなす事は不可能ですが、自分の力を信じて突破力を磨いて行きたいと思います。
父滅の刃からは、今の時代を生きていく上でたくさんの気付きを得ることができました。
〈参考文献〉
父滅の刃