予言の自己成就

その目標、信じて行動すれば実現するかも

皆さんは自分の目標を言葉にしているでしょうか。

心にぼんやりと「〜だったら良いのに」と、考えるにとどまっていることが多いのではないでしょうか。

マートンというアメリカの社会学者は、「予言の自己成就」という現象を提唱しています。「予言の自己成就」とは、「最初の誤った状況の規定が新しい行動を呼び起こし、その行動が当初の誤った考えを事実なものとする。」と定義しています。

人々が信じるなら、誤った予言でも実現する、といった意味になります。

裏を返せば、まだ達成されていない目標でも、人々がその達成を信じて行動するなら、その目標は達成される、と言うことが出来るのです。

目標を宣言して良い相手と宣言してはいけない相手がいる

明治大学法学部教授の堀田秀吾氏は、著書「科学的に元気になる方法集めました」の中で、

①会社の人やパートナー、友人など、身近な人に目標を話してみる
②紙に書いて壁に貼る

ということを勧めています。周囲や自分自身に目標を宣言(予言)することで、努力に身が入ったり、助けてくれる人が現れることを狙っています。

よくダイエットでも、周囲に宣言することで、やらなければならない状況に身を置くといった方法を見かけますよね。

ただ、宣言については気をつけなければならないこともあります。

博士であり、作家でもある苫米地英人氏は、周囲に目標を宣言してはならないと言っています。なぜなら、ドリームキラーを呼んでしまうからです。

私達の周囲にいる人達は、私達と同じコンフォートゾーン(快適領域)内にいます。

受験を考えてみましょう。あなたとあなたの友人がBという階層にいるとします。そこで、あなたはそろそろ勉強しないとマズイと考えて、志望校という目標を掲げて勉強し始めます。

A
———————————————-
B     あなた       友人


A     あなた
———————————————-
B                     友人

その場合、上記のようにあなたはAの階層に登り始めることになります。すると、Bの階層に取り残された友人は、居心地が悪くなります。「今まで一緒に勉強しないで遊んでたじゃないか!」となるわけです。その為、あなたの友人は、「その志望校は目標が高過ぎる。危ないよ。落ちたら人生終わりだよ。もっと、ランクを下げた方が良いよ。」と言うかもしれません。

これがドリームキラーです。友人には悪気はありません。本当にあなたが失敗したらかわいそうだと考えて助言しています。しかし、結果として、あなたの目標をくじくことになってしまうのです。

なので、目標を助けてくれる人もいますが、ドリームキラーもいることに注意する必要があります。

目標を話して良い人は、既にあなたが掲げた目標を達成している人です。

東大生に東大へ行く目標を話した場合、自分がどういう勉強をしてきたのか教えてくれるでしょう。

しかし、東大生でない人は、東大生になる方法を知らないので、アドバイスは出来ません。おそらく、目標が高過ぎるとなってしまうでしょう。

誰かに宣言するかしないかは、よく考えて行う必要があります。

自分に対しては何度も目標を言い聞かせる

しかし、自分に対しては別です。自分は、逆に目標を忘れがちです。その為、目標は頭の中にぼんやりとさせていてはいけません。しっかりと紙に書き、見て、読む必要があります。

毎日毎日確認し続けます。何度も何度も言い聞かせます。

精神科医で作家の樺沢紫苑氏は、うつ病の患者さんに、朝起きて散歩する事を勧めるそうです。それは、午前中に日光を浴びる事でセロトニン(心の安定に関係する脳内物質)が作られるからです。

しかし、最初にその話をしても、患者さんは行動に移さないそうです。それでも何度も会う度に伝えます。そして、忘れかけた頃に患者さんから「朝起きて散歩するようになりました。」と報告を受けると言います。

目標に向かう行動を起こすには、何度も何度も言い聞かせる必要があるのです。無意識のレベルに染み込むまで、何度も自分で自分に言い聞かせる必要があります。

無意識のレベルまで目標達成を信じられれば、予言が自己成就するでしょう。他人はともかく、目標は紙に書いて、何度も自分に言い聞かせましょう。自分の言葉が、心に染みをつくるまで浸透させましょう。

参考文献

科学的に元気になる方法集めました

前の記事

食べ物と脳と心の関係

次の記事

なりきる