デフォルト・モード・ネットワーク

ボーッとしている時の脳は、通常時の15倍も活動している!?

前回、「天才は無刺激状態に身を置くことで、脳の神経回路に対する刈り込みを逃れ、独自の回路を構築した。」という趣旨の話をしました。

少し意味は違うかもしれませんが、見方によれば日本にみるガラパゴス化のようなものだとも考えられます。つまり、周囲から影響を受けなかったことで、独自の進化を遂げたということです。

さて、この無刺激状態に身を置くことは私達にもメリットがあるのです。

無刺激状態、つまり、ボーッとしている時の脳の状態をデフォルト・モード・ネットワークと言います。

私達は何かを考えている時に脳が活発に活動していて、何も考えていない時は、脳も休んでいると考えがちです。

ところが、ボーッとしている時の脳というのは、通常時の15倍も活動しているのです。

ボーッとしている時は、普段とは違う脳の領域が活動する為、素晴らしいアイディアを思いついたりするのです。

天才達も閃きを得た時はデフォルト・モード・ネットワーク状態にあった

天才の一人アイザック・ニュートンは、無刺激状態の時に、木から林檎が落ちるのを見て万有引力の法則を閃きました。

推理小説家の松本清張は、寝床、風呂場、廁(かわや)で孤独になれる時、アイディアが浮ぶそうです。また、乗り慣れた電車や散歩中にも面白そうな考えが浮ぶらしいのです。ただし、電車も散歩も見慣れた風景で目移りしない事がポイントになります。

スティーブ・ジョブズも座禅による瞑想を実践しておりました。無心になることで、創造性を生み出していたようなのです。

私達は忙しい日々を送っていますが、少し足を止めて、ボーッと休憩したり、瞑想を取り入れたりしてみると、閃きを得られるかもしれません。

経験を積む。それから無刺激状態に身を置いてみる。

このデフォルト・モード・ネットワークは、記憶に関係する海馬という脳の組織と連携しています。つまり、過去の記憶や経験の中から、閃きを得るということです。

ですから、何もないところからいきなり素晴らしいアイディアが生まれるのではありません。様々な経験や記憶の中からアイディアは生まれるということです。

私達自身は常に新しい経験を積んで、成長する必要があるでしょう。

ところで、既に存在するものを新たに組み合わせて、今までにないものを創造する事をイノベーション(技術革新)と呼びます。

私達の無数の経験や記憶の中から、新たな組み合わせが見つかる事も、イノベーションであり、閃きなのです。

まずは、①材料である知識と経験を増やしましょう。そのうえで、②瞑想など、無刺激状態に身を置き、デフォルト・モード・ネットワークを利用すれば、もしかしたら斬新なアイディアが思い浮かぶかもしれません。

<参考文献>

天才を生んだ孤独な少年期 ―― ダ・ヴィンチからジョブズまで

科学的に元気になる方法集めました