9割捨てて10倍伝わる「要約力」/山口拓朗/観察力と洞察力
山口拓朗さんの著書『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』についての記事の続きです。
情報収集の質を高める為に「本質を見極める」
情報収集する時に手当たり次第に情報を集めてしまうと、要不要や、大事なことの選別が難しくなります。そこで、要約をする際、情報収集の段階で質を高める必要があります。
その方法の一つが「本質を見極める」ことです。
本質とは「物事の根本的な性質や姿」のこと。
p.92
「観察力」と「洞察力」
本質を見極めるとは良く聞く言葉ですが、実際にどうすれば良いのか分らない方が多いと思います。
本書では「観察力」と「洞察力」を鍛えることで、本質が見極められるようになると書かれています。
「観察力」とは物事の状況や様子など、「目に見える情報」を注意深く見る力のことです。
p.93
「洞察力」とは、目に見える情報をヒントに、その屋台骨となる「目に見えない本質」を見抜く力のこと。
p.93
「観察力」とは植物で言うところの幹・枝・葉の部分です、一方、「洞察力」は根に当たります。
幹・枝・葉は目に見えますが、根は土に埋まっていて見えません。根は目に見えませんが、幹・枝・葉の状態が良ければ、地面に強く根を張っていると分かります。もし、幹や枝がボロボロで、葉が病気にかかっていたら、根にも異常があるかもしれないと分かるわけです。
私はこの内容を読んで、人間の体と心(精神)の関係に似ていると思いました。
体は幹・枝・葉であり、心(精神)は根です。
精神科医で作家の樺沢紫苑さんが「うつ病の患者さんは、最初体の不調を訴える。」と仰っていたのを聞いたことがあります。
つまり、体の様子で心の様子が分かるということなんだと思います。
実際、本書では「洞察力」を鍛えるには、「観察力」を鍛える必要があると書かれています。
観察ですから、意識を向けて、”じっくり見る”ことが肝心。見えている物事や様子を「手がかり」にしなければ、本質を見抜くことはできません。
p.93
わたしたち人間は、自分が認識できる範囲内でしか物事を考えることができません。観察によって認識する物事の量を増やすことこそが、本質を見抜く力(=洞察力)のパフォーマンスを上げる唯一のアプローチなのです。
p.94
この過程を図にすると、
じっくり見る→認識する→考える→本質に気付く
となるでしょう。
私としては、「観察」だけでは認識できない事柄も多いと思いますので、見聞きするものを増やすこと(=経験や知識を増やすこと)が、観察する時の認識力を向上させると思います。
その意味では堀江貴文さんが「情報のシャワーを浴びよ。」と言っているのは正しいのかもしれません。観察をした時に、知っていることが多い人は、知っていることが少ない人よりも、認識フィルターに引っかかってくる情報量が多くなるでしょう。
本質を見抜けるようになるメリット
続いて、本質を見抜けるようになるメリットをご紹介します。
本書では、 本質を見抜けるようになるメリット は、アナロジー(類推)が活性化されることだと書かれています。
アナロジーとは、すでに知っている情報や経験を、未知のジャンルに転用することです。
p.95
この辺りの内容は『メモの魔力』と通じるところがあります。 『メモの魔力』 では【出来事や情報を「抽象化」し、それを別の分野に「転用」しましょう。】といった事が書かれています。
ここでいう「抽象化」こそ、本書でいうところの「本質を見極める」力なのです。
今回は情報収集のプロセスの一つとして、「本質を見極める」ことを取り上げました。そして、本質を見極めるためには「観察力」と「洞察力」を鍛える必要があることをお伝えしました。
次回は、情報整理のプロセスを、まとめたいと思います。
<参考文献>