元生活保護ケースワーカーだから知っている人生で大事なこと
私は数年前まで、生活保護のケースワーカーをしていました。
その経験から、私が人生で大事だと思う事をお伝えします。
ケースワーカーとは
ケースワーカーは、その人の生活の相談に乗り、困り事の解決に当たります。
適切な社会資源に繋げたり、自ら動いて生活を再構築していく仕事です。
生活保護のケースワーカーは保護費の支給の他に、生活に関わる様々な問題の解決に動きます。
その為、多くの人の人生を見てきました。その経験から言えることがあります。
人生の終わりを意識して生きよう
それは、人生の終わりを意識して生きようということです。
多くの人が今が楽しければそれで良いと考え、生きているのではないかと思います。
だから、刹那的な生き方を選んでしまうのです。
ケースワーカーの経験でも、「ああ、この方にもかつては愛してくれた人がいたのにな。」と、思うことが沢山ありました。
その方が、最後は終わりが来る事を意識していたら、「目の前の人を大切にする生き方を選べたはずなのに。」と思わずにはいられません。
どんな人にも等しく「老い」と「死」が訪れます。生き物は老いて、最後は死ぬのです。
ですから、自分の最後はどのようであってほしいかを、もっと真剣に考える必要があるのです。
しかし、多くの人がそれを考えないようにして生きているのが問題だと思っています。
インフルエンサーを信じる危険性
私は常々、YouTube などのインフルエンサーの発言や生き方を危惧しています。
インフルエンサーの発言で危ういと思うのは、「結婚や子育ては古い価値観だ。そんな事を言う人の話を聞く必要なんかない。」という発言です。
加えて「やりたい事をやろう。人生一度きりだから、好きなように生きよう。」と聞かされます。
そういう動画を見た若い人は、憧れのインフルエンサーが言う言葉を真に受けるでしょう。
結婚、子育てなんて自由を奪われるだけだからやめよう、と。
また、インフルエンサーの生き方にも憧れを持つでしょう。バリバリ社長として働いて、成功していく様は魅力的です。
そのインフルエンサーが結婚や子育てしていなければ、結婚や子育てより成功に時間をかけようと思ってしまうのも無理はありません。
しかし、一度真剣に考えてほしいのです。「結婚、子育ては古い価値観だ。」というインフルエンサーは、自分の老後、そして死ぬ間際も同じ事を考え発信していると言えるのでしょうか。
人は老いると言いました。つまり、人は変わるのです。そして、身体だけでなく、考え方も変わります。
若いうちは「子供や家族なんて煩わしくていらない。」と思っていたとしても、子供や家族が手に入らない歳になったら考え方が変わるかもしれません。
あなたは将来も「子供が欲しいとは思わない。」と、言い切れるのでしょうか。
80代になった時に、「自分には何故愛する家族がいないのだろう?」と思わない保証がどこにあるのでしょうか。
もちろん、様々な事情から、家族を持つことが叶わない方もいる事は承知しています。
私が言いたいのは、インフルエンサーを信じて生き方を決めてはいけないという事です。
「結婚、子育ては古い価値観」を信じて、将来あなたが後悔しても、インフルエンサーは責任を取ってくれません。
ケースワーカーとして、人の人生の終わりを感じてきたからこそ、多くの人に、もっとそういった想像力をもって生きてほしいと思うのです。
あなたのエンディングに誰がいてほしいか
人生はマルチエンディング型アドベンチャーゲームです。
マルチエンディングとは、エンディングが複数あるということ。
そして、アドベンチャーゲームとは、自分の行動や発言の選択によって、人生が分岐していくということです。
あなたが取った行動や発言によって、将来訪れるエンディングが変わるのです。
終わりを意識するとは、自分のエンディングがどうあってほしいか考えるということです。
私は自分のエンディングには、妻、子供、孫、ひ孫がいたら良いなと思っています。
そして、私が旅立つ時には、皆に「いろいろな事を教えてくれて、支えてくれた愛情深い父親だった。」と思ってほしいです。
そのようなエンディングになるよう、日々の行動や発言を、選択していかなければいけません。
家族を持つには年齢的制約があります。そして、真に心を通わせた家族を構築するのに膨大な時間と根気と愛情が必要です。
お金で家族を買う事はできないのです。
インフルエンサーを信じて、自己実現、成功などに時間を全振りした後のエンディングを想像してください。
さて、自由とお金を掴んだあなたのエンディングには誰がいるでしょうか。
ケースワーカーの経験から、単身者が亡くなる時は病院または老人ホームだと思います。
自宅もヘルパーさんがいればありうるかもしれませんが、現実的ではないように思います。
家族がいても最後は病院か老人ホームかもしれませんが、人生の最後に自分が愛する人、自分を愛してくれる人がいるのといないのとでは大きな違いがあると、私は思っています。
どのように生きるかだけを考えると、道を誤る可能性があります。
まず、どのように死ぬかを考え、じゃあ、どのように生きるか、という順番で考える必要があります。
その上で、自分のエンディングに家族がいてほしいと思うのなら、そのようになる選択をしていくと良いでしょう。
まとめ
•人は老い、そして死ぬ
•だから、終わりを意識して生きよう
•人生はマルチエンディング型アドベンチャーゲームなので、日々の選択が人生のエンディングを変えていく
•どのように死ぬかを考え、それからどのように生きるかを考える
•エンディングに家族がいる人生を望むなら、そうなるように選択すること