トイ・ストーリー4は何故評価が分かれるのか?※ネタバレあり

私はトイ・ストーリー4にとても良い印象をもちましたが、ネットのレビューでは酷評が多く見られまれした。

そこで、何故評価が分かれるのか考察したいと思います。

「変化」に対する価値観で評価が分かれている

私が思うに、「変わらない」ことや「安定」を重視する方と、「変わる」ことや「自由」を重視する方とで評価が分かれていると思います。

変わってしまった事を列挙すると、

1 ウッディがバズ達との生活を捨てた

2 ウッディがボニーのおもちゃであることをやめた

3 ボニーがウッディと遊ばなくなった(アンディと大切にすると約束したのに)

4 ボー・ピープがやけに男勝りに変わった

5 ウッディやバズが頼りなくなった

6 ウッディのボイスボックスが取られてしまった

「変わらない」ことを重視する方は、バズ達やボニーとの生活が最優先だと考えます。

何故なら1から3まで、ウッディは一貫して子供のおもちゃであることの重要性を仲間たちに説いてきたからです。

そしていつも危険に陥っている仲間を救って、一緒にいようと努力してきたからです。

それが急に心変わりしたかのように、仲間やボニーとの別れを選んでしまったことに納得できないのでしょう。

私は鑑賞していませんが、スピンオフ作品ではボニーと仲良く遊んでいるのに、4でボニーがウッディと遊ばなくなったのも許せないようです。

ボニーはウッディを譲ってもらう時に、アンディとウッディを大切にすると約束していますから。

また、ボーがウッディやバズよりもたくましく変わってしまったことにも、違和感がある方がいるようです。

そして、ウッディが自分の気持ちに反してボイスボックスを手放してしまい、そのままという変化にも嫌悪があるとのこと。

私は「変わる」ことを重視している

さて、反論もあるかと思いますが、私の意見を述べます。

私は「変わる」ことと「自由」を重視しています。私はトイ・ストーリー4から「人生は変えられる」というメッセージを感じ取りました。

まず、世の中や、人の考えは変わるものだという大前提があります。

今の世の中も、新型コロナウイルスによって様変わりしてしまいました。

これに対して「何故変わったんだ?」と文句を言ったところで、「変わるのが当たり前で、ずっと同じだと考えるのは幻想」としか言えません。

誕生したばかりの地球の環境と今の地球の環境は違います。人だって歳を取るので、年齢によって見た目や考え方も変わるでしょう。

ウッディの変化を、私は「成長」だと捉えています。

ウッディはアンディのおもちゃであるという執着を一度手放しているのです。だから、子供が大人になることによって、自分たちの扱いが変わることを受容しています。

それはウッディの成長だと思うのです。

子供は成長して変わる。だから、ボニーの気持ちも変わる。それは変えられないし、それが当たり前なのです。

ボニーがずっとウッディたちと遊び続けることはないのです。人は変わるからです。それは悪いことではないのです。

「ボニーはウッディたちと遊び続けるべきだ。」「ウッディは遊ばれなくても子供の為のおもちゃでいるべきだ。」というのは、誰の幸せを願っているのでしょうか。ここには、ただ「変わってほしくない」という気持ちが見えてきます。

3の最後で、ウッディやバズが屋根裏部屋に仕舞われていても、ハッピーエンドだったと言えるのでしょうか?
ボニーに遊ばれなくなっても、クローゼットで眠っているのがハッピーエンドなのでしょうか?

「変わらない」ことを重視すると、「変わる」ことを恐れます。また、「変わる」ことを受け入れられなくなります。

今の状況がずっと続くという幻想に囚われてしまうのです。

今の状況がずっと続くと考えると「決断」しなくなります。何故なら今決めようが、後で決めようが同じだと思ってしまうからです。

でも、本当は今という時間は戻りません。大人は年を取ります。子供は成長してしまいます。物は劣化してしまいます。経済や社会情勢や環境も変わります。

変化に対応してこそ、進化なのではないでしょうか?

ボー・ピープが変わった事も、私は高く評価しています。それも、彼女の成長だと思うからです。そして、環境と努力次第で「人は変われる」というメッセージを感じます。

成長したボーの姿を見て、ウッディがそれに影響を受けて生き方を変えた事も、とても共感します。

それは私が経験したことに似ているからです。

私の人生が変わった出来事

私は子供の時からテレビゲームが大好きで、大学生までずっと、ゲームをしていました。「老後はゲームをして暮らしたい」と本気で願っていました。

そんな私がある事を境に、一切ゲームをやらなくなったのです。

それは、今の妻と出会った事です。

妻も当時大学生でした。当時の妻は夢に向かって日々努力していました。目が回るほどの忙しさの中を生きていました。

そんな人と出会って、私は衝撃を受けたのです。夢に向かって努力し、日々意味のある人生を送っている。私はと言えば、ゲーム三昧の日々。私は自分を恥じました。

「なんて無駄な時間を過ごしてきてしまったのだろう…」

そこから私は一切ゲームをやめました。そして、心に誓ったのです。

「意味のある人生を送ろう。もっと成長しよう。」

当ブログのタイトル「Meaningful Life」にもそのような思いを込めています。

人は人の影響を受けて「変わる」のです。それは、主張がブレているわけではなく、成長したということなのです。

だから、ただ待っているだけの存在だったボーが、自ら考え行動できる存在に「変わった」ことや、ウッディが新しい生き方を選んだことに、とても共感するのです。

人の価値は所有物で決まるわけじゃない

ウッディのボイスボックスを取られた、という変化にも納得いかない方がいるようです。

しかし、ギャビー・ギャビーを見て分かるように、所有物で人の価値は決まらないのです。ウッディの価値はボイスボックスを取られても変わらないのです。

私には、紐とボイスボックスが取れたウッディは、さながら金の腕輪が取れたジーニーのように見えます。

誰かのための人生から、自分の意思で歩む人生に船出したのです。

まとめ

変わらないはずのものが「変わってしまった」と考える人

経験、環境、人の影響で人生は「変えられる」と考える人

どちらから考えるかで、トイ・ストーリー4 の感想は変わるのだと思います。

〈参考映画〉
トイ・ストーリー4